相互運用とプライバシー保護を目指すPolkadot銘柄「Manta Network」の解説
聞いたことがある人は多く、プライバシートークンってことは知ってるけど具体的にはわからない。
そういう方のために解説しました。
Manta Networkとは
Manta Networkは、主にPolkadotエコシステムで相互運用とプライバシー保護を目指すプロジェクトです。
zk-SNARKという技術を活用し、トランザクションや金額等の取引履歴を公開することなく、資産の移動や取引を可能にします。さらにはプライバシー保護に特化した決済サービスやAMMベースのプライベートDEXなどの構築も行っています。
また、Polkadot用のプロジェクトがManta Networkで、Kusama用のプロジェクトがKalamari Networkとなります。
今回の記事では主にManta Networkを軸として解説していますが、Kalamariも基本的には同じ機能や目的を果たすためのプロジェクトであると理解して頂ければと思います。
相互運用性とプライバシー保護をもたらすプロトコル
Mantaはアドレスの追跡や金額などのプライバシー情報を保護することが目的のプロジェクトです。
DeFiの普及によって、アドレスの追跡や金額、トークン詳細、ガス代などトランザクションから誰でも見れるようになりました。これらは良い面もある一方でプライバシーの観点で課題も残されています。例えば、自分が知人に対してお金を送金した履歴等を誰もが確認できるって少し嫌じゃないですか?
もちろん透明性や検証性はブロックチェーン技術の魅力でもありますが、全てが全てオープンであることは問題視されるべきで、Mantaはこれらの課題を解決するために開発されています。
また、相互運用も目指しており、これはPolkadotのパラチェーンに接続されることによって実現します。
これによりPolkadotやAcala、ビットコインやイーサリアムなど外部の異なるチェーンとの互換性を持つことも可能となり、Swapやステーキング、送受信などが行えるようになります。
zk-SNARKにより匿名性や高速処理が可能
Mantaは、zk-SNARKを導入することで、取引する際に完全な匿名性を保ち、さらに高速処理を実現します。
ユーザーは、取引する際に金額やウォレットアドレス、送金先や履歴などプライバシーに該当する情報を全て匿名化した状態で行うことが可能になります。
ちなみに、zk-SNARKを導入しているプロジェクトはMantaの他にはZCashがあります。ZCashはBINANCE等にも上場しているトークンなのでご存知の方はいらっしゃるのではないでしょうか。
匿名性の強いZCashはZCashトークン自体にしか匿名性の効力がありませんが、Mantaはパラチェーンに接続されるプロジェクト全てが対象になります。
つまり、$MAだけが匿名になっているわけではありません。ここが結構肝で、他のプライバシートークンよりもMantaに期待を寄せる理由です。
分散型匿名決済サービス「MantaPay」を展開
Mantaは、決済プロトコル「MantaPay」を展開予定です。
これはBYOT(Bring your own token)モデルの分散型匿名決済プロトコルで、MantaPayはPolkadotやその他の主要な仮想通貨をサポートする予定です。
仕組みは、DOT、ACA、wBTCなど資産をMantaに預け入れることで、pDOT、pACAなど別のトークンを鋳造します。このpDOT等のプライベートトークンを送金することで「どこに」「いくら」「誰に」送金したか全ての情報が匿名化されます。また、生成したプライベートトークンは、いつでも元のベーストークンに戻すことができます。
分散型匿名取引所(DAX)の「MantaSwap」を展開
Mantaは、プライベートトークンのSwapを行う「Manta Swap」も展開予定です。MantaPayは主に支払い・送金がメインですが、こちらはプライベートトークンのスワップができるプロダクトになります。
これはDEXではなくDAX(分散型匿名取引所)と呼ばれ、zk-SNARKを導入したAMMになります。Manta Swapはパラチェーンに接続されたトークンの交換が可能で、ベースコインからミントしたプライベートトークンをスワップし、別のプライベートトークンを入手し、Swapで手にしたトークンをベースコインに戻せます。
DOT→pDOT→pACA→ACAのような感じですね。
また、プライベートトークンの鋳造やSwap、送受信を行う場合、手数料が発生します。この手数料はMantaトークン保有者と、流動性提供者に支払われる仕組みになっています。後述しますが$MAはただのガバナンストークンではなく、DAXで取引されればされるほどMAホルダーに手数料が分配されるのでトークンを保有するメリットもあります。
ミントされたプライベートトークンは通常のAMMで使うことができない仕組みになっているため、プライバシー保護のニーズが高まれば高まるほどDAXは使用されていきます。
Mantaトークンのユーティリティ
$MAはDAX(分散型匿名取引所)のManta Swapで発生する手数料の一部をトークン保有者に償還されたりガバナンス機能を持ち合わせたトークンです。
Manta NetworkでSwapや送金した際に発生した手数料の100%が償還プールに入り、定期的に市場価値に基づいて調整後、償還されます。償還された後はすぐにバーンされるので、「デフレ・ユーティリティトークン」となります。
PolyChain Capitalなど有名VCが出資
Mantaは2021年2月にPolyChain Capitalがリードするラウンドで110万ドル(約1億2500万円)の資金調達に成功しています。
他に参加したVCは、Hypersphere Ventures、Three Arrows Capital、Defiance Capital、Multicoin Capital、Alameda Research、BTC12 Capital、Genblock Capital、Rarestone Capital、AU21Capitalなどです。
また、2021年9月にはCoinFundとParaFiCapitalがリードするラウンドで550万ドル(約6億2700万円)の調達に成功しました。
このラウンドでは、LongHashVentures、CMS Holdings、Divergence、Spartan Group、Global Coin Ventures、SkyVision Capital、Zee Prime、SNZなどです。
2021年11月に開催されたManta Networkのトークンイベント「Squad Game」では、総供給量のうち8%の8000万枚のMAトークンを販売し、その後2,880万ドル(約31億円)の資金調達を行なっております。
Web3財団のGrand(助成金)を一度獲得
Mantaは、Web3 FoundationのGrandを2020年第4四半期のWave8で獲得しています。
プライバシーを保護するためのMantaSwapに関する申請で承認されました。PolkadotエコシステムにおいてWeb3 FoundationでGrandを獲得することは優良プロジェクトかどうかの一つの選定基準だったりもするので、獲得できているのは素晴らしいですね。
MantaはPriFiの先駆けとなる可能性がある
Mantaはプライバシー保護の分散型金融である「PriFi(Privacy Finance)」の先駆けとなる可能性を秘めています。
DeFiにおけるプライバシー問題は常々課題として挙げられており、Polkadotエコシステム全体にプライバシーの課題を解決するプロジェクトがMantaです。
zk-SNARKを導入したことで匿名性をもち、Polkadotエコシステムであることから相互運用性の機能も兼ね備えており、分散型匿名支払いDAPと分散型匿名取引所DAXを展開予定です。
Mantaはまだクラウドローンが控えているため、もし興味がある方はクラウドローンに参加してみてはいかがでしょうか。僕はAcala,Moonbeam,Astar以来に参加する予定です。
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