NFTFiはNFTを活用した新たな金融システム

今回はNFTFiと呼ばれるNFT×DeFiの新しい金融システムをピックアップしました。

「ただ保有しているだけのNFT」から、「運用資産としてのNFT」へと進化する元年として、NFTFiとはどういったシステムなのか解説します。
あどまん 2022.04.05
誰でも

NFTFi(NFT×DeFi)とは

NFTFiというワードが最近話題になってきました。

NFTFiとはNFTを担保にしたレンディングサービスです。NFTを担保にすることでETHやステーブルコイン等を借り入れできたり、貸し出して利息収入を稼ぐことができます。

現在、保有している高額NFTの運用方法を模索している方はいらっしゃるのではないでしょうか?僕自身もその一人で、保有しているCloneXやMutant Ape Yacht Clubを使って何かできないだろうかと考えていました。

NFTFiはこれらを解決できる新たなトレンドであり、NFTFiは以下のような使われ方が考えられます。

レンディング
NFTレンディングとは、NFTを担保にステーブルコインやETHを借りる仕組みです。具体的には、CDP的なアルゴリズムを使った仕組みと、流動性プール的なアルゴリズムを使った仕組みの2つに大別されます。

レンディング/CDP
MakerDAOやSynthetixなどのSAI鋳造のための債務ポジションのことをCDPと言います。NFTFiでは、ETH,SNXの代わりにNFTを担保債務ポジションとして利用するプロトコルです。
主なプロジェクト:UnUniFi、JPEG'dなど。

貸出・プール
AAVEやCompoundのように、各アセットの流動性プールを持っていて、お金を借りることができる仕組みです。
主なプロジェクト: Themis、Flowty、Gradient protocolなど。

レンタル
NFTレンタルとは、個人が実際に所有することなく、特定のNFTを期間限定で保有できる機能です。これらの主な分野は、AxieのようなP2Eゲームで、ユーザーはNFTのキャラクターを借りて、ゲームをプレイすることができます。
あとは先日エアドロで配布された$APEトークンもBAYCを保有したアドレスをコネクトするだけでclaimすることができたので、そのタイミングでBYACをレンタルできれば実質無料でAPEを受け取ることもできました。

フラクショナル化
フラクショナル化により、NFTを購入し、その何割かを所有することができるサービスです。これにより高額のNFTを一部購入することができるようになります。また、NFTを分数化することで、NFTの元の保有者は、全体を売却することなく、その資産から流動性を確保することができます。
主なプロジェクト: フラクショナル、ユニクリ、NFTFYなど

これらの他にもNFT合成デリバティブなど、NFTFiの分野ではすでに様々なプロジェクトが誕生していることが分かります。

保有しているだけでお金が借り入れるようになるとNFTはより価値が生まれる

これまで用途のなかったNFTが担保として利用され、お金を借りることができるとこれまで以上にNFTに価値が生まれる可能性があります。

現在はCryptoPunksやBYACといった比較的信用の高いNFTなど限定的な範囲でのみ利用されていますが、今後はリアルの土地と同じようにメタバースの土地などを担保にお金を借り入れるようになるかもしれません。Blue Chipの側面を持つNFTも高い利率で貸し出すこともできそうです。

NFTは分割で売ることができないため、一度購入すると売るまで換金することができません。これまでであれば急に資金が必要になった場合、NFTをフロアプライスや格安のオファーを受け入れて泣く泣く売りに出すしかありませんでした。

また、トークンはFTという特性上、売ったトークンを買い戻すことは容易ですが、NFTは一度売ってしまうと同じデザインのNFTを買い戻すことは容易ではありません。現物のアートと同じですね。NFTFiの誕生によって、NFTを売らずとも担保にしてお金を借り入れることができるようになるので、NFTを保有しつつ借りたお金を他の運用資金に回すことも可能になるということです。

NFTFiの活用方法としては

1.BAYCを担保にして10ETH借りる。
2.借りた10ETHをDeFiで運用して、12ETHに増やす。
3.10ETHを返却し、BAYCを返してもらい2ETHが利益として手元に残る。
1.WL条件になっているNFTを借りる。
2.ホルダーがオファーを受け入れた場合、ETHを貸付てNFTを借りる。
3.WLに当選した後、借りたNFTを返却する。

このような使い道が考えられます。

もちろんリスクも高く、ハッキングリスクや適正価格の算出方法などまだまだ課題が多いため、これからの開発に期待したいです。

実際にNFTFiを体験してみた

NFTFiがどれほど便利なものであり革新的な技術か実際に試さないことには分からないので、Pine(https://pine.loans/)というプロジェクトを利用してみました。

貸し手はETH、USDCなどのトークンをPine Poolsと呼ばれる特定の保管庫にステーキングし、それぞれの保管庫は特定の担保に基づく最大借入額、金利、利用可能期間の設定されたコレクション(例:BAYC、Azuki)を保持します。借り手はこれらの保管庫からNFTを担保に、即座に資金を借入を行うことができるサービスです。

SPARTANやALAMEDA RESEACHやImpposible Financeといった有名VCから資金調達しており、現在はベータ版が展開されています。

今回はレンディング機能を使って、Mutant Ape Yacht Clubを担保にしてETHを借りてみました。

使い方は非常に簡単で、担保にするNFTを選択して借りたい金額を決めて預けるだけでした。

返却期間を3日、7日、14日で選択でき、この返却期間によって最大借入金額が異なります。

従来のDeFiだと担保資金の7割ほどを借入できますが、NFTはまだ価格変動も激しくリスクも非常に高いため、3~5割ほどしか借入することができないようです。(サービスによります)

MYACのCurrent Valuationが24ETHほどなのでPINEでは3割の7ETHを最大で借入することができるようです。しかし、借入期間を14日間にした場合は5ETHが上限となったため、今回は5ETHほど借入してみました。

Pine Loan Bot
@PineLoan_bot
Some degens took out a loan of 5.02444ETH ($17690.9025068) from MutantApeYachtClub #1420 using pine.loans
2022/04/05 08:59
1Retweet 1Likes

現在は新規ユーザーを増やすために金利が割引されており、MAYCを担保にすると、年利2%でETHを14日間借り入れることができます。

実生活でローンを組む場合、与信や信用情報などの照会を行った上で審査されますが、NFTFiのレンディングの場合、担保資産を持っているだけでOKなのでありがたいですね。大学生1年の頃にパズドラに課金しすぎてクレジットカードの支払いを滞納してブラックリストに入って以来、金融業者にお金を借りたり、ローンを組んだこともしてこなかったので、NFTFiでお金を借りることはある意味新鮮な体験でした。

先日30ETHのCloneXを購入して資金が減ってしまったので、借りた資金でAstarを購入しました。2倍になれば5ETHの利益です。ぜひ上がって頂きたいですね。(仮に下がっても返済できる資金はあるのでご安心をw)

今年はNFTFi元年になるだろう

NFTを担保にお金を借り入れるサービスは2020年から開始されていたものの、2022年ようやく本格的に流行るような予感がします。NFTを担保にお金を借りることもできれば、NFTを担保に新規のステーブルコインを鋳造することもできます。またお金を借りるだけでなく、必要に応じて一時的にNFTを借りることもできるようになるので、今後益々NFTの活用幅は広がるのではないでしょうか。

NFTはリアル世界の非代替性商品と同じく、NFTの評価は非常に曖昧であり、NFTにまつわるストーリーや価値観に大きく左右されます。アート作品やコレクション性のあるNFTは、コミュニティや文化、繋がってるインフルエンサー等、これらの要素が噛み合って価値が生まれていきます。

曖昧な評価で適正価格も定まっていない現状であることから、リスクも非常に高くまだまだ手探りの中どのプロジェクトも開発を進めているので、レンディングサービスを利用する際は一定のリスクを理解をした上で利用するようにしましょう。

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